健康アドバイス

食中毒について

食中毒ついて

食中毒は、国内で発生する8割以上が細菌やウイルスによるものです。とくに細菌性食中毒は、家庭でも発生する危険性が十分あります。本格的な食中毒シーズン真っ只中、家庭でできる予防の基礎知識を身につけておきましょう。

食中毒
食中毒
食中毒

食中毒は、ジメジメした梅雨の時季に多いと思われがちですが、そうではありません。6月から徐々に増えはじめ、7月から10月にかけて多く見られ、とくに8月に最も多く発生しています。(下記グラフ参照) 夏場では腸炎ビブリオサルモネラ腸管出血性大腸菌O157黄色ブドウ球菌による食中毒が多発します。カンピロバクターによるものは6月と9月に多くみられます。これらの食中毒細菌は、気温が高い夏場に食品中で分裂を繰り返し、猛烈に増殖するため、食中毒を起こすのです。変化していくのでしょう? 右の図からもわかるように、生まれてから20歳までの成長過程は、骨の形成期です。この時期にしっかりした骨格をつくることが、それ以後の人生にとって大変重要です。というのも、骨量は30歳代でプラトーに達した後は、加齢とともに次第に減少していくからです。

≪平成11年食中毒月別発生事件数≫

食中毒

おもな食中毒細菌は下の5つです。それぞれの【特徴・感染源】【潜伏期間とおもな症状】【予防法】をまとめているので参考にして!まずは敵を知ることが大切。

腸炎ビブリオ特徴・感染源:
7~9月の夏場に多発。生の魚介類がおもな感染源で、増殖のスピードが速い。3%くらいの食塩濃度を好み、真水や酸、熱に弱い。低温では増殖できない。
潜伏期間とおもな症状:
潜伏期間:6~32時間。激しい腹痛、水溶性下痢、吐き気、嘔吐。
予防法:
食品の低温保存。夏場は魚介類の生食はさける。魚介類は流水でよく洗うこと。
サルモネラ特徴・感染源:
5~10月に多い。鶏・豚・牛などの食肉や鶏卵などがおもな原因食品。熱に弱いが、低温や乾燥には強い。
潜伏期間とおもな症状:
潜伏期間:8~72時間(平均24時間前後)。幼児や高齢者はわずかな菌量でも感染。おへそ周辺の腹痛、発熱、頻回の下痢、吐き気、嘔吐。
予防法:
食肉や鶏卵は十分に加熱すること。ペットからの感染に注意。
腸管出血性大腸菌(O157など)特徴・感染源:
6~10月に多い。食肉、井戸水、人から人への感染などが考えられる。気温が35~37℃になると最も増殖しやすい。
潜伏期間とおもな症状:
潜伏期間:2~7日間。少ない菌量でも感染。腹痛、下痢、血便。乳幼児、児童、高齢者はベロ毒素による腎臓や脳への障害が出ることもある。
予防法:
食材は十分に加熱すること。家族に下痢患者がいるときは、とくに乳幼児への感染に注意が必要。
黄色ブドウ球菌特徴・感染源:
季節を問わず発生するが、夏場に多い。手指の化膿部分や荒れた手、毛髪、鼻腔、のどなどに存在。増殖中にエンテロトキシンという熱、酸、アルカリに強い毒素を作り出す。
潜伏期間とおもな症状:
潜伏期間:数時間と短い。吐き気、嘔吐、腹痛、下痢。
予防法:
指の傷や手荒れに注意。
カンピロバクター特徴・感染源:
動物の腸管内に生息。鶏・牛・豚などの食肉、ペットや水系感染によって起こる。熱、乾燥、低温に強い。微好気の条件で増殖。
潜伏期間とおもな症状:
潜伏期間:1~7日間。少量の菌でも感染しやすく、ペットからの直接感染もある。まず、発熱、けん怠感、頭痛、次に嘔吐、腹痛、下痢、血便が起こる。
予防法:
食肉は十分に加熱すること。ペットの便に注意。
食中毒

家庭内で発生しやすい細菌性食中毒を防ぐには、病原菌を「つけない」「ふやさない」「死滅させる」ことが大切です。

1.手指や台所を清潔にし、食品に病原菌をつけない。
2.十分に加熱調理をし、病原菌を殺す。
3.食品をそのまま室温に放置せず、冷蔵庫や冷凍庫に保存して病原菌の増殖を防ぐ。

ポイント

1.食品の購入:
消費期限を確認して購入しよう。
生魚、生肉は新鮮なものを選ぼう。
冷蔵、冷凍が必要な食品は買い物の最後にし、寄り道せずに持ち帰ろう。
2.家庭での保存:
肉や魚は汁が出ないように袋に入れて冷蔵庫や冷凍庫へ。
卵はパックのまま冷蔵庫へ。
3.下準備:
手指は石鹸でよく洗おう。
包丁とまな板は、肉用、魚用、野菜用に分けよう。
包丁、まな板、ふきん、スポンジなどは、洗剤でよく洗った後、熱湯で消毒しよう。
4.調理
加熱する食品は中心部まで十分に加熱する。肉は肉汁の色が透明になるまで加熱。
ハンバーグや卵焼きはフタをして熱を加える。
調理を途中でやめる場合は、室温に放置せず冷蔵庫に入れる。
5.食事
料理ができたらなるべく早く食べ、室温に2時間以上置かない。
6.残った食品
清潔な容器に入れ、冷蔵庫に保存。ただし、保存は2日以内に。
食べる際には再加熱を十分にしよう。

◎お弁当のおかずには必ず火を通して病原菌を殺す。
◎塩、砂糖、酢などを利用して味つけを少し濃くする。
◎温かいと細菌が増殖するので、おかずは完全にさましてから汁気を切って詰める。
◎サンドイッチは清潔な手で。
◎おにぎりはラップを使ってつくる。

食中毒

万全の対策をしていながらも食中毒が起きてしまったら、慌てる前に適切な対応をして乗り切りましょう

食中毒

細菌性食中毒の症状は、一般に下痢、腹痛、嘔吐などの胃腸炎症状です。病原菌の種類により症状に特徴がみられますが、家庭において臨床症状から病原体を推定することは困難です。

ポイント

下痢が認められるときは、市販のスポーツドリンク、麦茶、湯冷ましなどで十分に水分を補給し、脱水症状を予防しましょう。下痢が激しいからといって下痢止めの薬を飲まないで下さい。一日5回以上の激しい下痢や血便が見られたり、激しい嘔吐や腹痛の時、または39度以上の高熱の際には病院での受診が必要です。

それでは、下のチェック表で我が家のキッチンの清潔レベルをチェックし、採点してみましょう!

清潔度チェック

気になる我が家のキッチンは清潔度。清潔度チェッカで早速チェックしてみましょう。

1. 
手指に、傷やおできなどはできていない。

2. 
手洗いは、調理の前、食材をさわった後、トイレの後などにきちんとしている。

3. 
冷蔵庫の中に物を詰め過ぎないようにしている。

4. 
消費期限の切れた食品が冷蔵庫にそのままになっていることはない。

5. 
まな板は、肉用、魚用、野菜用に区別し、熱湯消毒をしている。

6. 
台所は整理・整頓できている。

7. 
ふきんやタオルは乾いた清潔なものを使っている。

8. 
たわしやスポンジは、よく洗って乾燥させている。

9. 
卵を室温で保管することはない。

健康事業総合財団 [財団法人東京顕微鏡院] 食と環境の科学センター所長:伊藤 武)