長寿のヒケツ
長寿のヒケツ
長寿のヒケツとは何?日本人の平均寿命を知っていますか?男性は77歳、女性は84歳で、世界のトップにあります。この寿命って何を基準?長生き秘訣はあるのか?まだまだこれからも日本人の平均寿命は延びていくのでしょうか?あなたの健康長寿度をチェック!
平均寿命とはその年に生まれた人の予測年齢のことをいいますから、現に生きている人はこれよりさらに長命ということになります。つまり、現在50~60歳の男性の平均寿命は約80歳、女性は約85歳になります。実際、現在の最多死亡年齢は男性で84歳、女性で88歳くらいです。まさに人生80年代といえるでしょう。
では、年齢とともに骨はどのように変化していくのでしょう? 右の図からもわかるように、生まれてから20歳までの成長過程は、骨の形成期です。この時期にしっかりした骨格をつくることが、それ以後の人生にとって大変重要です。というのも、骨量は30歳代でプラトーに達した後は、加齢とともに次第に減少していくからです。
歳をとると病気になるのは避けられません。このことから平均寿命のうち、とくに健康体で生きられる期間を平均健康寿命と呼んでいます。最近、WHO(世界保健機関)が試算したところによると、日本人の平均寿命は80.9歳、平均健康寿命は74.5歳でともに世界の首位にあります。平均健康寿命の2位はオーストラリア (73.2歳)、3位はフランス(73.1歳)です。
いずれにしても日本人が長命なのは確かで、米国のある人口研究所は、2050年には日本の平均寿命は90歳を超えるとまで予測しているのです。
しかし、平均寿命は所詮平均値をあらわしているに過ぎません。実際には、若くしてがん、心臓病、脳卒中などで亡くなる人も少なくないのです。来週は、どのような人が健康を保ちながら平均寿命まで達することができるのかをお話しましょう。
世界の首位にある日本人の平均寿命。どうしたら健康で長生きができるのか、その秘訣をご紹介します!
まずは、あなたの「健康長寿度」をチェックしてみましょう!
Time's up
米国で「病気のない50歳の人のうち75歳まで生き延びたのはどういう人か?」を長期追跡して調べた研究があります。それによると、
健康長寿3つの秘訣をお教えします。
1.たばこを吸わず、血圧が低め
長生きができない主な危険因子として、喫煙習慣と高血圧が突出していることをよく認識してください。したがって、たばこを吸わず血圧が低めな人は長生きの第一関門をパスしたといえるでしょう。
2.運動を習慣づける
呼吸機能が良好で脈拍数が少なめ(たとえば1分に60回)という人は、ふだんよく運動しているということを意味します。運動習慣の重要性がここに出てきます。
3.遺伝的要因を意識する
両親、祖父母、兄弟姉妹などの家系にがん、心臓病、高血圧、糖尿病などの発症者がいるかどうか確認してみましょう。これらは老年病ですから、80歳を過ぎて発症するのは仕方がありませんが、若くして発症した場合は、やはり遺伝的要因があるといえます。しかし、これらも現在では十分予防が可能になりました。
たばこを吸わないこと、血圧(130/85mmHg以下)の管理、体重の適正値を維持することが大事です。そのためにも毎日の運動と食事に注意していきましょう。
■ 運動面…1日最低30分は意識して早足で歩きましょう。
■ 食事面…野菜・果物を毎日欠かさず、食塩と固形脂肪を減らして、牛乳・卵などの良質のたんぱく質を摂取しましょう。間食せず、食べ過ぎないことも大切です。
健康で長生きをするポイントは生活習慣を改善して規則正しい生活を送ることにありますが、実はもうひとつ大切なポイントがあります。そのキーワードは“いきいきとした生き方”です。
90歳以上の高齢にありながら、なお健康でいきいきしている人をみると、その生き方には共通の特徴があるように思います。例えば:
- おだやかで謙虚であること
- 仕事、趣味などの生き甲斐があり、好奇心、向上心があって何歳になっても意欲を失わないこと
- 他人と積極的に交際していること
- 世の中に役立つことをしようと思うこと
などです。これらは米国の心理学者も明らかにしていることです。
健康でいきいきとしている高齢者の共通点は、「長生きしたい」と思うこと以上に「よく生きたい」と考え、行動している点です。「よく」という言葉にはいろいろな意味があります。道徳的に善であり、能力が向上することでもあり、自己を取り巻く環境が改善することも入ります。こうした諸々のものすべてを含めて、精神的に常に向上と満足を求めているのです。
論語に「知者は楽しみ、仁者は寿し(いのちながし)」という言葉があります。常に好奇心を持って学習する人は人生を楽しく過ごし、おだやかで他人に思いやりのある人は長命である、という意味と解されます。ただ長く生きればよいというものではないのです。健康長寿には、よく生きるということがいつも念頭になければなりません。
(健康事業総合財団 [東京顕微鏡院] 学術顧問、東京都老人医療センター名誉院長 小澤利男)